ボクの四谷怪談

蜷川さん演出、S嬢出演の『ボクの四谷怪談』初日を観にコクーンへ。
女優S嬢は昨年スターダストから天然ロボットと事務所を移籍した。つまり私は一応S嬢の事務所の社長さんということになる。本当なら稽古初日に顔を出したり、いろいろ稽古場に差し入れしに行ったりすべきだったろうが、全く時間的余裕が無く、結局初日観劇が初めての現場顔出しとなった。

芝居は奇々怪々。殺人の筋立ての巧妙さがあるかと思えば、全く整合性のない流れに戸惑わされたり、楽曲の挿入があまりに唐突だったり、歌える人は数人しかいないけれど歌声には妙に納得させられたり。ラスト30分あたりからはもう理解するのを放棄して、ただ繰り出される奔放なイメージに身を委ねるしか無い。書いた本人の橋本治さんも初日乾杯の挨拶で「これを書いた奴は何を考えていたんだろうなあと」とおっしゃる通り、当時の若さとパワーと支離滅裂さが圧倒的な物量と熱量で表現されていた。
13年前、私が『パンドラの鐘』のアンサンブルに参加させてもらったとき、蜷川さんは「オレは笑いとか解んないからさ、」とおっしゃっていて、実際蜷川舞台で笑いという意味での面白さは前面に出される事は少ないのだけれど、今回に関しては勝村さんや峯村リエさんなど達者なキャストによって十分にレベルの高い笑いが折り込まれていた。
スペクタクル性は相変わらずで、シンプルな時は思い切りシンプル、物量を注ぎ込む時は思い切り注ぎ込む。そういうメリハリのある演出は憧れるのだけれど、当然膨大な人手と予算が必要となり、しばらく私みたいなポジションでは実現できそうにないな。予算を別にしても、蜷川さんは76歳だそうで、とっくに老境であるはずの演出家にこんなアヴァンギャルドな舞台を作られたら瞠目せざるを得ない。

会場でケラさん・緒川たまきさん夫妻と遭遇。緒川さんはいつもニコニコしていて素敵だ。
「うちの奥さんにそのうちユザワのカウンターテナーを聴かせたいんだよ」
そんなの、バッハでもヘンデルでもいつでも聴かせますがな。
終演後、楽屋挨拶して初日乾杯に参加。一応社長だから。蜷川さんも勝村さんも「パンドラでお世話になりました」と言ったら覚えてくれていて嬉しかった。さらに千倍嬉しい出来事もあったのだが、それは胸の内にしまっておくのだった。

今日の靴。『5王子〜』にて使用されたマーチン。
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8ホールのスチールトゥ入り。私が見つけて自腹で提供した。履いていた本人はてっきり貰えるものだと思っていたらしいが、「やらんわ!」と言って持ち帰ってきた。代わりにゴールドの8ホールをあげたからいいだろう。
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by maestro_k | 2012-09-18 14:20 | shoes