舞台で喰う事&お知らせ

昨日の写真。晴れた原宿駅前。
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昨日は午後から某企画の打ち合わせ。買ったばかりのリーガルのネイビーを履いて行く。
しかし腰痛が酷い。なんだろうなこれ。風呂に浸かったりストレッチをしたりマッサージ機能付きのクッションをあてがったりしているのだがなかなか退治できない。


さて若い役者、もしくは役者志望の人たちと一緒の現場になると、私ごときでも彼らからすると「舞台で喰えてる先輩」に見えるらしく、いろいろ相談を受ける事もある。彼らの一番の悩みは「どうしたら役者業だけで生活できるようになるのか」ということだ。

役者だけで喰う、というのにもパターンはいろいろあるが、さほど難しいことではない。別にテレビドラマに出てブレイクしなくてもいいのだ。どこかの事務所に入って各種CMのオーディションを沢山受け、テレビとラジオのCMをそれぞれ年に3、4本やらしてもらって、舞台(もちろんギャラ有り)に年に三公演くらい出演させてもらえば、自分ひとりなら何とか暮らせるだろう。

舞台一本でいきたい!となるとちょっとハードルが高くなる。多少舞台経験のある20代半ばの役者のギャラがワンステージで三万円だとすると、年間100ステージで300万円。事務所に入っていれば三割引きで210万円、からの源泉一割引きで189万円。ひと月あたり16万弱の手取りとなる。大手事務所だと七割引かれる場合もあるけど。
そして年に100ステージというのは、マグダラくらいの規模の公演に年に5、6本出演するということで、これは結構引っ張りだこ状態。つまり一年中ずっと稽古か本番ばっかりの状態でやっとその程度の収入になるわけだ。

男優に比べて、女優の道はさらに厳しい。ブロードウェイやウエストエンドのようにオーディションで実力を評価されるならまだしも、短期公演がほとんどの日本の演劇界ではチケットを確実に売るために動員力のあるキャストが優先される。女性客がほとんどの演劇界において、宝塚という例外を除くと男優より動員力のある女優は多いとは言えない。それに反して舞台志望者は男性より女性の方がずっと多く、競争率が高い。そうなると舞台の華となるような特別に良いビジュアルを持っているか、特別に高いスキルを持っていないとまずオファーが来ない。だからか知らないが、男優より女優のほうが優秀な人材が多い。気がする。

私は役者ではなく作演出家になりたくて芝居を始めたので、「役者で喰っていきたい」という若手に対してあまり有効な助言ができない。夢を喰って腹が膨れる訳でもないので、上記のような事を言って現実を知らせるくらいしかできない。「見た目が良くて上手で面白くて個性的でイイ奴」なら成功の確率は高くはなるが、確実ではない。あとは自分を評価してくれる人と出世作との出会いだ。芝居ばかりが人生ではないから無理だと思ったら別の選択をすればいいし、イバラの道の向こうに何かが開けてると思えるなら続ければいい。役者でなくても舞台が好きならスタッフ業だってあるし、そっちの方がまだ安定しているくらいだ。自分の人生なんだから好きに生きたらいいじゃない、ダメだったとしても人生全部が無価値になるわけじゃないし、と本家の長男のくせに実家を相続放棄して芝居を続けている私は思うのだった。

さてお知らせ。
この『下等遊民日記』の日記更新は年内いっぱいで終了し、来年以降は活動予定のみのアップとする。半年くらい前から「今年いっぱいかなあ」と考えていたのだ。作演出家としての表現活動は舞台だけで十分だし、役者としても知名度や動員力を買われてオファーされる立場ではないから、活動予定さえアップすればブログで日常的に発信を続ける必要もないだろう。今後はブログ更新に費やしていた時間を読書や観劇や靴磨きに回すつもりだ。
なお、これまでの記事はカツカツの小劇場役者だった人間が南青山に住める程度になるまでの実録として舞台志望者の方には何らかの価値があるかも知れないと思われるので、そのまま残しておく。
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by maestro_k | 2012-12-13 23:59 | diary