高橋キミ嬢の肖像

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名刺サイズの写真。よくよく見ると「高橋キミ」と書いてある。
この一葉の写真を、随分昔に帰省した時に実家で見つけ、気に入ったのでもらった。撮影は素人によるものとは思えない。おそらく当時のちゃんとしたプロが撮ったものだろう。
親戚に高橋姓はいないので、一体どういう経緯で実家にこの写真が保管されていたのかは判らない。おそらく母の知人だと思うのだが、母は10年前に他界したのでもう証言者がいない。
随分昔のものとはいえ、肖像写真だからそれなりの修正は加えられていると思われる。しかしそれを考慮に入れてもなかなかの美少女だ。盛岡のような田舎では相当評判だったのではないだろうか。
ウラにはもっとハッキリと青インクの万年筆でメモが書かれている。
「高橋キミさん十六歳/昭和十六年○○月二十二日」。○○の部分は破れていて不明。
昭和十六年に十六歳ということは、数え歳としたら昭和元年生まれ。母の一年先輩にあたる。

母は私に「エス」という言葉を教えてくれた事があった。「Sister love」の頭文字をとった言葉で、吉屋信子の作品などに出て来る、女生徒同士の恋愛を指す。今で言えば百合だ。
私の母は教員だった。少女時代は相当本格的にバレエも習ったりしていて、戦前の地方都市の女性としてはインテリの部類である。当然吉屋信子を読み、その世界観に影響されたと考えても不思議はない。
母がこの高橋キミさんと面識があったのか、一方的に先輩として憧れていたのかは判らない。でもこの写真を見るだけで、戦前の女学校で渦巻いていた色々なロマンチックな幻想が想像されて、私にとっては、とても特別なものになっている。

話は変わって。
本日の夕空を御覧になっただろうか。池袋から自転車で帰る途中、例の不穏な空がまたやってきた。そしてみるみるうちに空がアンバーとスミレ色に染まってきた。
チクショウ、なんて夕焼けなんだ!
そしてなんでこういう時に限ってC-LUX1を忘れてきているのか!
住宅街を疾走していたため、無粋極まる電線で空が狭い。見渡せるところになかなか出られない。
とりあえず携帯で。もっともっと美しかったのに!
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by maestro_k | 2006-08-09 01:37 | photo/camera