タケダさん

大忙しで買い物とか。

すみれの天窓にギター用マイクを借りに行く。店で一服したら帰宅して歌詞を覚える予定だったが、そこにタケダさんが現れた。
タケダさんはもう80歳くらいの方だ。いつもピシッと決めておられる。不勉強で具体的な職業は存じあげないのだが、物書きだそうで、戦後の文化史の生き字引のような人だ。穏やかな語り口で披瀝される知識と交友関係の広範さは驚くべきもので、好奇心を刺激することこの上ない。まだ会うのは二回目だが、私は彼と話すのが好きだ。

「17,8の時かな、足穂の部屋に連れ込まれた事があって」
「えええ!」

足穂とはもちろん、お月様が三角形だったりA感覚だったりV感覚だったりするあの足穂である。

「知人の映画評論家とパチンコしてたら、いきなり後ろからワシッと尻をつかむヤツがいたんですよ」

当時のパチンコは椅子がなく立って遊ぶものだから、尻をつかまれても不思議はない。か?

「痛いと思ったらそれが足穂で、ボクは当時足穂自体を知らなかったんだけど、知人がこれは有名な作家さんだと紹介してくれたんですね」

で、その後なぜか彼の部屋に連れ込まれたのだそうだ。

「足穂はそのつもりだったんですかね」
「いや、わからないけど、部屋に行ってからボクのヒロポンの注射器をポロッと見られて、そんなもんは止めなさいっていうお説教に変わっちゃった」

んー、アナーキー。

「友人のK(スーパー大物演劇人)はね、奥さんと離婚したとき、たまたまその年の収入が多かったから財産を多めに分けたんだけど、翌年の税金が払えなくて、仕方なく『○の○○』の上演権をN(ウルトラ大物演出家)に売っぱらって金を作ったんですよ」

私、その芝居の稽古場に見学に行ったなあ。
タケダさんの膨大な知識と超リベラルな感性に触れる事はとても楽しい。あまりに楽しいので結局タケダさんが帰るまでずっと話し込んでしまった。
そんな訳で、明日の演奏はカンペを見ながらになるだろう。

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by maestro_k | 2007-07-20 23:36 | diary